海辺のカフカ

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この話を読むのは3回目かな。ストーリーはもう知っているので、じっくり丁寧に読んでみました。

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正直、村上作品の中ではあまり好きな作品ではなかったんですが、今回読み返してみて、圧倒されました。

「羊男」や「壁抜け」など、村上作品には「非現実」な人物や出来事が重要なモチーフとして登場します。まったくのファンタジーではなく、リアリスティックな世界の中に象徴的に現れる非現実さの絶妙なバランスが、村上作品のキモだと僕は思っています。

この「海辺のカフカ」では、少年「田村カフカ」を中心とした物語と、不思議な老人「ナカタさん」を中心とした物語が、一章ごと交互に語られます。この2つの世界は直接は(あまり)交わりませんが、同じものごとが違うフィルターを通して描かれています。

最初読んだとき、これまでの作品に比べ、この「海辺のカフカ」は「非現実」側がアンバランスに強すぎる、と僕は感じました。もっと言うと、「非現実」に逃げすぎている、とも。

でも、今回丁寧に読み返すことで、今までは理解できていなかった少年「田村カフカ」側の物語の持つ濃密なメッセージが、良く理解できました。そして同時に、この濃密な世界とバランスを取るためには、「ナカタさん」側もやはりああではなくてはいけなかったんだということも納得。

特に「ナカタさん」側の最後のシーン、僕に限らず多くの人が「それはやりすぎだろう?」と思ったのではないかと思いますが、少年「田村カフカ」側の重いテーマをひしひしと感じながら読んだ今回は、その突拍子の無いシーンもさほど異物感なく読めました。

それにしても、読めば読むほど新たな発見があり、そしてそもそも何度も読み返そうと思わせてくれる、そういう小説や作家って、なかなか無いです。読んでない人は、ぜひ読んでみてください。2回は最低読んでね。あー、早く新作が読みたい。

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