3年で辞めた若者はどこへ行ったのか

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若者はなぜ3年で辞めるのか? の続編、かな?でも出版社が違うんですね...。前作はタイトルの通り「分析」の色合いが強かったように思いますが、今回は少し経路が違います。様々な分野で既存の昭和型価値観から大きく外れた働き方をする人たち、または昭和型価値観の矛盾に苦しむ人たちの話を、20本取り上げています。

東大をでてお坊さんになった人、かつて人気だった日本企業に見向きもしない優秀な学生たち、エリートとして大企業に入ったのに閉塞感に苦しむ30代社員、などなど...。とても考えさせられます。

自分自身を含めてですが、多くの日本人サラリーマンが「約束されていない将来に対するナイーブな期待」を抱いているなーと感じることがあります。頑張ればこのくらいまでは出世できるかなーとか、上司や会社に見いだされれば将来有利かなとか、仮に幹部候補生とかになったりしたら将来は明るいかな、とか...。

でもそういうのって、何一つ保証されている物じゃないんですよね。たとえば「何年後にどんなポストにつけて、そのときの年俸はいくらか」とか。そういったことが曖昧なまま、10年後、20年後、30年後、会社の組織がどうなっているか、雇用形態や評価システムや給与体系がどうなっているか、そもそも会社は存在しているのかなどについて疑問を持たずに、勝手な期待を持ちながら会社のために働く...。もしかしたら、優秀な人ほど会社の中心部に取り込まれ、そういう傾向が強くなっている事実もあるかもしれません。

僕の勤め先は一応外資系なので、年功序列もあまり無いし、ラインマネージャ以外に専門職としての昇進の道もあり、日本のメガバンクや官僚とくらべればこうした意味での閉塞感はかなり小さいんじゃないかと思いますが、それでもそういう空気は感じます。

この本で取り上げられているストーリーは、今の社会では少数派かもしれませんが、今の社会が持っている淡い暗黙の了解を、くっきりと相対化してくれます。

また、本書の終盤部分は、「現在の若者の非正規雇用・ワーキングプアの問題は、かつての労使間での搾取ではなく、中高年と若者の間の世代間搾取である」として、中高年労働者の利益代表である既存左翼勢力をかなり激しく批判しています。これは僕も本当にその通りだと思います。賃金の問題もそうだし、年金の問題もそうですね。問題は、どちらの側にも理があること。今の中高年は年功序列の約束の下、若い頃から専門職として技能を磨くよりはゼネラリストとして会社に滅私奉公し、その報酬として今高い給料を得ているわけで、それを今更若者が「能力給だ」「中高年の給料を減らせ」と言っても、はいそうですかと受け入れられないのは当然だと思います。かといって、自分たちは年功序列の約束がないのに、たいした働きもせずに高い報酬を得ている中高年を若者が見逃せるわけはなく...。結局は、限られた金を奪い合うしかないということですよね。理屈よりは、力ずくの奪い合いになると思います。そして、少なくとも既存の会社組織の中においては、やはり中高年が有利なんだろうなあとも思います。

すべての働く人にとって、何かしら考えさせられる本です。逆にこれを読んで、何も思うことがないような人は、よっぽど自分の働き方に確信を持っている人か、末期的なほどに昭和的価値観に麻痺してしまった人なんじゃないでしょうか。

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