雑誌Numberでおなじみの執筆陣による、2006年ドイツワールドカップにおける日本代表チーム「惨敗」についての本です。
金子 達仁 戸塚 啓 木崎 伸也
光文社 (2006/12/15)
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日本代表もまだまだ大人になりきれていないかな

2010年の“勝因”へ

日本代表のドイツでの戦いぶりは、なぜ心に響かなかったのか。
読みながら、あの時の悔しさがひしひしと蘇ってきました。
僕はあまり昔見たゲームの事をよく覚えている方ではないのですが、あの3試合だけは、始まる前の期待と終わった後の絶望感も含め、しっかりと記憶に残っています。あのときのチームは、間違いなく日本サッカーの歴史の中でもっとも才能にあふれた選手が多くそろったチームでした。そして、彼らならジーコの描くスペクタクルなサッカーが実現できるはずだと、心の底から信じていました。
しかし実際は、ジーコから具体的な戦術についての指示がないことからチーム内が混乱、チーム内で話し合うも意見がかみ合わず対立が広がるばかり、そして海外組と国内組の対立、中田英寿の孤立、サブ組に広がる不満と妬み。もはやチームとしての体を全く成していなかったチームは、ワールドカップ本番に崩壊のピークを迎え、その結果があの2敗1分でした。
この本では、実際の選手やスタッフ、そして相手チームの選手の言葉などを通して、あのとき日本代表の中で何が起こっていたかということが、驚くほど細かくつっこんで書かれています。そこから浮かび上がってくる日本代表の姿は、当時の報道から予想していた以上に絶望的なものでした。
日本代表のレベルを理解せず自由を与えすぎたジーコが悪いのか、そのレベルに達することができなかった選手が悪いのか。ラインを上げろと主張した中田が正しかったのか、引いて守るべきと言った宮本が正しかったのか。個人としての能力がありながらも練習不足だった海外組をレギュラー使ったのは正しかったのか、練習やアジアカップで明らかに良いサッカーをしていた国内組を使うべきだったのか。
すべては今となっては無意味な問いですが、おそらくどこのチームでも似たような問題は抱えていたのではないかと思います。その中で日本代表がああなってしまった理由は、小倉隆史の次の言葉につきると思います。
だから、厳しいようだけど、全体が子供に見えた。子供の集団
この本では、日本代表の敗因を追いかけながら、最終的には「なぜ彼らのサッカーは心に響かなかったのか?」についての問いかけに収束していきます。そしてその理由こそが、敗因でもあったのではないか、と。
オシムジャパンから岡田ジャパンへと受け継がれた今の日本代表にも、僕は若干の心配を感じています。ジーコと違い、オシムはチームに明確な方向性を示しました。それはすばらしいことなのですが、オシムというカリスマに対して、選手たちはあまりにおとなしく素直に従っているように見えてしまいます。もちろん、反抗しろと言っているわけでもないし、表面上はおとなしくても内には燃えるものを抱いているとは思うのですが…。
サッカーの質は明らかに向上しているにもかかわらず、井原やカズがいた頃の代表に感じた熱さを今の代表にあまり感じないのは、単なる懐古主義ではない気がします。
2006年の日本代表を応援し、2010年の日本代表も応援しようという思いが少しでもある人には、是非読んでもらいたい本です。