2007年9月アーカイブ

第二次世界大戦、北極海での過酷な任務に挑む戦艦ユリシーズ号の戦いを描いた、海洋冒険小説の古典的名著(だそうです)。

女王陛下のユリシーズ号
アリステア・マクリーン 村上 博基
早川書房 (1972/01)
売り上げランキング: 48674
おすすめ度の平均: 5.0
5 ジョンブル魂を見た
5 屈指の名作です
5 史実と読み比べても違和感ない、真実の「作り話」

本当に読んでいてイヤになるくらい、悲惨なほどの苦境に満ちあふれた話です。艦隊をねらうドイツ軍のUボートや戦闘機に加え、北極海の厳しい自然、そして船員の反乱。そういう極限状態の中で、誇りを持って戦う男たち。かっこいいです。

原著の出版は1955年、日本語訳の出版は1972年ですが、内容も訳も全く古くささを感じさせません。すばらしい。

それにしても、戦艦というのは(潜水艦と同様)本当に特殊な心理的・社会的環境なんだなーとつくづく感じさせられます。一度出航してしまうと要員の交代ができない上、空間が狭く、物資の補給も困難、そして基本的には男しかおらず(最近の米軍なんかは違うのかもしれませんが)、撤退も困難、などなど。それ故に、特殊なメンタリティーや厳しい規律、強力なリーダーシップなんかが、他の環境以上に要求されるのでしょうね。

あとこの話を読んでいて驚かされるのが、戦艦というのが相当ボロボロになってもなんとか動き続ける代物なんだな、ということ。昨今の精密機械は、ほんのちょっとのトラブルが発生すると、残りの99.9%が正常でも全く動かなくなってしまうというのが普通ですが、ユリシーズ号は本当にボロボロになりながらも、必死で航海を続けていきます。すごい。ユリシーズ号がどのくらいボロボロになっちゃうのかは、表紙を見るとよく分かります…。

とても面白い小説でした。

週末、実家に帰省しました。「なんか仏壇にお供えするものでも」と思って、東京駅の大丸のデパ地下を歩き回っていたところ、ずんだ餅のお店を発見しました。

ずんだ茶寮

ずんだ餅は枝豆のあんを使ったお餅で、以前から気にはなっていたものの、まだ食べたことがありませんでした。4個入りの一番小さいやつを買って、(仏壇に供えた後)家族と一緒に食べましたが、味はかなり「枝豆!」な感じで、おいしかったです。お値段も手頃だし、おみやげには良いかもです。

このずんだ茶寮というお店は、本場仙台以外では東京駅と横浜の大丸、あとは羽田空港に展開しているようです。

今年もいよいよ、UEFA Champions Leagueの季節がやってきました!

第一節初日の今日は、2つの試合を観戦しました。

1つはレアル・マドリー対ブレーメン。

マドリーは…いいですね!イグアイン、スナイデル、ガゴ、マルセロなど、馴染みのない顔ぶれが多いですが、やっているサッカーはとても観戦のしがいがある、スピーディーで魅力的なモノでした。並のチームならバックパスしかないような状況でも、狭いスペースにどんどんパスを出していって、前へ前へとボールを運んで行く姿勢は、「日本代表、見習ってくれ!」と言いたくなるようなすばらしいものでした。もちろん、そんな簡単にマネできるものではないのですが。

もう1つは、ACミラン対ベンフィカ。

ベンフィカには元ACミランのルイ・コスタがいて、どちらのチームにも思い入れがありそうな一戦。今年のミランは、他のビッグクラブと比べて、移籍市場であまり大型の補強をしませんでした。しかし、それについてNumber687号のインタビューでカカが語っていた言葉。

確かにライバルたちは大規模な補強を行った。でも、それがミランの総合力を凌げるかは別次元の話だと思う。僕らには、長い時間をかけて築き上げたチームワークがある。僕はセカンドトップとしてプレーするとき、後ろにいるセードルフの意図を、彼の動きを眼にせずに察知できる。ピルロが何処にボールを捌こうとしているのかもわかる。その瞬間にガットゥーゾがカバーしようとするエリアもイメージできる。それは僕だけのことじゃない。チームメイトみんながシステムを熟知しているんだ。

まさにその通り!この完成度。カカ-ピルロ-インザーギとつないだ2点目に、ミランならではのチームワークと個人のスキルの融合を見た気がします。

こうやって家でUEFA CLが観戦できるというのは、本当に幸せなことです。サッカーファンにとっては、本当に至福の時です。

昼寝のすすめ (内田樹の研究室)

いいこと言うなあ。すごい共感です。

イタリアやスペインの諸君があまり働いていないわりには、どうも「大人」っぽい雰囲気を漂わせているのは、彼らがこまめにシエスタをすることと無関係ではないのかもしれぬ。 昼寝は戦争とか投資信託とかM&Aとか、そういう殺伐としてものともなじみがよろしくない。 日本人のとげとげしい社会的未成熟はあるいは昼寝の不足に由来するのやも知れぬ。

今日は僕も久しぶりに昼寝をしました。ベッドで本を読んだまま、コロンと横になって、気づいたら夕方。

定期購読してる雑誌「フォーサイト」の最新号を読んでいたら、北朝鮮からICANNに国家インターネットアドレスの登録に関する打診があった、という記事がありました。ICANNとしては、10月29日から開かれる会議で正式承認する方向なんだとか。ちなみにそのドメイン名は、「.kp」だそうです。

ちなみに、先頃パレスチナ自治政府に「.ps」というドメイン名が承認されていたんだそうです。へええ。

あー、でもICANNはこの報道を否定してるみたいです。

ワールドドメインニュース:2007.08.20 【北朝鮮】「.kp」に関する一部報道をICANNが否定

真偽のほどは分かりませんが、僕はこの記事を見て、「じゃあ今まで北朝鮮のWebサイトは、どんなドメイン名だったんだ?」「もしかして、北朝鮮にはWebサイトがひとつも無いの?」「IPアドレスとかは割り当てられてるのかな…」「そもそも物理的なネットワーク自体はつながってるのかな?ロシアとか中国経由で?」などなど、いろんな疑問が沸いてきました。

とりあえず、Googleで「north korea」などと検索しても、公式サイト(?)のようなモノは特に見つかりませんでした。うむー、謎。

買ったまま、会社の机に長らく置きっぱなしになっていましたが、やっと読みました。噂に違わぬ名著。

UMLの記法を説明した本ではないので、まったくUMLの知識を持たない人には難しいかも。記法は知っているし、何となく読むことはできるが、実際に書くとなったらどこから手をつけていいのかよくわからん…という人(つまりオレ)のような人に最適な本です。

UMLモデリングの本質 (日経ITプロフェッショナルBOOKS)
児玉 公信
日経BP社 (2004/04/08)
売り上げランキング: 32992
おすすめ度の平均: 4.5
5 頭が良くなった気がする
4 日本発の優れたUMLモデリング本
4 とりあえず読んでみて良かった

前半は「モデリングとは何か」「何をモデリングするのか」「何のためにモデリングするのか」について、とことん議論を深めていきます。そして後半では、サンプル・ケースに従ってクラス図を作成し、ユースケース図やシーケンス図も併せて書きながら、実際に問題となりそうな様々なポイントを考慮に入れつつ、クラス図を洗練していく課程が説明されています。

「UMLを書く」=「プログラムの設計図を書く」みたいについつい考えてしまいがちなのですが、もちろんそうではなくって、物事(この場合はシステム化対象の業務や、実現する機能)の本質的構造つまりモデルを、UMLというツールを使って導き出して洗練させることが、UML「モデリング」ということなんだということが、よくわかりました。

実際、特に後半のサンプル・ケースを読んでいると、「DOAでモデリングする時と似たようなことをやってるんだな~」と感じたりもします。本当のDOAが「DBの設計図を書くこと」ではなく、データを中心に業務の実態を記述することであるのと、きっと同じなんじゃないかと。

すごく勉強になりました。

村上春樹の欧米向け短編集。

Blind Willow, Sleeping Woman
Blind Willow, Sleeping Woman
posted with amazlet on 07.09.12
Haruki Murakami
Vintage (2007/07/05)
売り上げランキング: 6000

いろんな時代の短編がごちゃまぜに詰まっていて、古くはカンガルー日和とか回転木馬のデッド・ヒートなどから、新しいところでは東京奇譚集などからピックアップされています。

僕にとっては久しぶりに読み返す話が殆どで、とても楽しめました。いろんなところで言われていますが、村上さんの話は、日本語で読んでも英語で読んでも印象が変わらないですね。

英語自体はブリティッシュな印象が強いですが、難しい単語が出てくることはそんなに無いので、比較的簡単だと思います。

でも、やっぱり内容を知ってる本を英語で読み直しても、あんまり勉強にならないよなあー、と最近思うようになってきました。英語の本を読み始める第一歩としてはいいかもしれませんが、自分はそろそろそれも卒業しないとな。

これは面白かった。

2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? (扶桑社新書 14)
西村 博之
扶桑社 (2007/06/29)
売り上げランキング: 201

「さおだけ屋」と同じで、「2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?」について書かれた本というわけではありません。ひろゆき氏がインターネットやらWeb2.0やらGoogleやらYouTubeやらについて、ウダウダと語ってる本です。インターネットやGoogleや集合知やらの希望あふれる未来について語った、梅田さんの「Web進化論」と正反対の主張。両方読んでおくと、多分ちょうど良いです多分ちょうど良いです。あと、小飼弾さんとの対談が、趣旨がわけわかんなくて面白いです。

それにしても、この人はなんでこんなにやる気が無いのに、こんなに圧倒的な影響力を持つ事をしでかせるのでしょう?不思議だ。

1時間半程度でざっと読めました。安いし、とりあえず読んでおくとよいと思います。

壬生義士伝に続く、浅田次郎の新撰組。

輪違屋糸里 上
輪違屋糸里 上
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浅田 次郎
文藝春秋 (2007/03)
売り上げランキング: 118
おすすめ度の平均: 4.5
4 立派なお侍
5 パターンとはいえ泣かされた
4 人はいつの時代も・・・
輪違屋糸里 下
輪違屋糸里 下
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浅田 次郎
文藝春秋 (2007/03)
売り上げランキング: 129

話の中心は芹沢鴨の暗殺。初期の新撰組は、近藤勇と芹沢鴨の二人の局長を戴いていました。芹沢鴨はある日何者かに暗殺されるのですが、それは近藤勇の命を受けた土方歳三およびその一派の仕業ではないのか、というのが通説になっています。

この小説もその説に則って描かれているのですが、面白いのは、話が新撰組を取り巻く「女性たち」を中心に語られていること。タイトルにもなっている糸里をはじめとする島原の芸妓や、新撰組隊士たちを賄っている壬生のおかみさんたちなど、この話に出てくる女性たちは、新撰組を支え、見守り、時には新撰組と戦います。また、新撰組を語った小説の多くは「近藤勇=正義」「芹沢鴨=悪」というスタンスで描かれているように思いますが、この点においても、この小説は既存の枠にとらわれていません。

個人的に死ぬほど感動した壬生義士伝と比ぶるべくはないものの、なかなか面白い小説でした。浅田次郎の時代小説は、言葉や、その言葉から立ち上ってくる風景が、とてもきれいです。

知らなかったのですが、たまたま昨日と今日、この話が上戸彩主演でドラマ化されて放送されていたようです。

TBS 二夜連続ドラマスペシャル「輪違屋糸里」~女たちの新選組~

先週のことですが、会社で開催された船川淳志さんのセミナーに参加してきました。船川さんはグローバルインパクトという会社の代表で、コンサルタントをしながら各方面でセミナーを開催されている方。以前はNHK教育テレビで「実践・ビジネス英会話」という番組の講師もされていたそうです。

テーマは「グローバルリーダーのマインドとスキル」。リーダーシップやスキルというものを、グローバル時代のなかでどう捉えていくかというお話です。グローバル時代というと漠然としていますが、そんなに大風呂敷を広げた話ではなくて、英語を使って外国人とビジネス・コミュニケーションする際に注意すること、みたいな感じ。船川さんはとにかくエネルギッシュな人で、お話はほんとに面白く、3時間のセミナーでしたがあっという間でした。

お話の中で一番印象に残ったのは、外国人のエリートと堂々と渡り合うには、「英語力と同時にIQLが必要」という話。IQLというのは、Interactive/Quick/Logicalの略。つまり、相手の話の要点を的確に捉えてそれに反応し、すばやく、論理的な話をする能力ということです。

これは難しい。英語力というものは勉強すれば何とかなるとは思うんですが、このIQLのような能力はファンダメンタルな「頭の回転の速さ」に基づく部分が大きいので、一朝一夕にはできるようにならないように思います。

でも、実際外国人のエグゼクティブや有名人なんかを見ていると、スピーチでもインタビューでも普段の会話でも、話が圧倒的にうまい上に相手の質問をうまく料理して答える術を知っているし、いわゆる「ユーモア」のセンスはあるし、話の論理展開もすっきりしていてわかりやすい、と感じます。やっぱり、こういう能力がエリートにとって必須のものであり、エリートを目指す人は学ぶべきスキルである、というコンセンサスがアメリカにはあるんでしょう。

セミナーの最後に、この本をおみやげとしてもらいました。ざっと見てみたところ、セミナーでお聴きした内容のかなりの部分がこの本にまとまっているようです。

英語で仕事をする人の思考力と対人力
船川 淳志
日本経済新聞社 (2005/09)
売り上げランキング: 101312

もし可能であれば、どなたにもぜひ船川さんのセミナーを聴いていただきたいのですが、そういう機会が無い方はこの本でも十分エッセンスは理解できるんじゃないかと思います。

最近、「思考の滞空時間」について考えます。

たとえば、先日読んだゲーデルの本にあったような論理学の問題を考えているとき、あとは数学や物理学の本で数式を追いかけているとき、あとはコンピュータのプログラムで複雑なアルゴリズムを理解しようとしているとき。

脳ミソを複雑なロジックを理解するためのモードに切り替えて、目を紙の上に書いてある文字の記号的な意味だけを理解するようにして、頭の中にロジックを展開して、通常モードに「墜落」しないように気をつけながら、展開されたロジックを頭の中でいろんな形に操作して、最終的な理解に「着地」させる、という作業。

問題が複雑になればなるほど、そういうモードをキープできる時間、つまり「滞空時間」が長く求められます。

シンプルな問題であれば、紙に書き出しながら理解したり、ちょっとずつジャンプしながら理解できたりもするんですが、やはりある程度問題が複雑になると、長時間そのモードで飛び続けながら、空中で一気に理解するしか方法が無いように思います。僕の場合。

一般的には「集中力の持続時間」とかいう言葉になるのかもしれないけど、僕のイメージでは「滞空時間」という言葉がしっくり来ます。そして、日々怠けてると、自分の「滞空時間」はどんどん短くなってくる気がします。時には無理してバタバタ羽を動かして、ちょっとでも「滞空時間」を延ばそうという努力をしないといけない気がします。放っておいても、年を取るにつれて体力は衰えてくるわけですから。

それにしても、こういうイメージは人それぞれ違うものなんでしょうか?それとも、たとえば理系人間にとってはある程度共通なモノなのか…。

前回のニーチェに引き続き、今回はゲーデルに関する本を読んでみました。

ゲーデルの哲学―不完全性定理と神の存在論 (講談社現代新書)
高橋 昌一郎
講談社 (1999/08)
売り上げランキング: 39761
おすすめ度の平均: 4.5
5 世界一の天才のクルト・ゲーデル
4 副題の後半に注目
4 パラドクスは超越への扉

ゲーデルは不完全定理を確率したことで知られる、論理学者・数学者です。前回「ニーチェ入門」を読んだとき、僕は哲学を『「ものごとの価値観を判断するための論理的な筋道」と「その論理展開をする際の根拠となる論理」』ではないかと書いたのですが、ニーチェの哲学は前者の意味合いが強かったのに対し、ゲーデルの哲学は圧倒的に後者です。実際に「ものごとの価値判断に使える」という意味ではニーチェ哲学の方が実用的だし、読んでいておもしろいのですが、デカルトやゲーデルのような「認識とは何か」「一致するとは何か」という世界観の根本を問うという意味で、こちらもまた重要な領域なんだろうな…と思いました。どちらかというと、ゲーデル自体が哲学に取り組んでいたというよりは、論理学というものを突き詰めることによって、そこから自動的に哲学的回答が浮かび上がってくる…、というような印象です。

この本では、不完全性定理についての解説もされていますが、正直僕にはきちんとは理解できませんでした。ただ、『「クレタ人は嘘つきである」とクレタ人が言った。』というパラドックスと同様、自分自身に言及することができる程度に複雑な論理体系では、自分自身の無矛盾性を証明できない…という説明に、なんとなく「わかった気がしないでもない」感は味わうことはできました。ただ、「神は存在する」の証明は理解できなかったなぁ…。理解できたらこの本がますます楽しめただろうし、もしかしたら頭のモードを切り替えてじっくり読めば理解できたのかもしれませんが、いまひとつそこまでモチベーションがわかず、なんとなく理解できないまま読み流してしまいました。

不完全性定理をちゃんと理解したい向きには、この本がおすすめらしいですね。

不完全性定理―数学的体系のあゆみ (ちくま学芸文庫)
野崎 昭弘
筑摩書房 (2006/05)
売り上げランキング: 17850
おすすめ度の平均: 4.0
4 カントール対角線論法との関係性
4 手軽に読める本
5 数学の意外なおもしろさ満載

今はちょっと腰が重いけど、「いちおう死ぬまでには読んでおかなきゃ」リストには入れておこう。

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