NHKスペシャル「デザインウォーズ ケータイ開発の舞台裏」の感想

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録画してあった、NHKスペシャル「デザインウォーズ ケータイ開発の舞台裏」を観ました。

NHKスペシャル|デザインウォーズ ケータイ開発の舞台裏

とても濃い内容でしたが、なかでも印象に残ったのがNECの開発現場。NECでのケータイ開発は、以前は機能を盛り込めるだけ盛り込んで、デザインは最後に決める、というスタイルだったそうです。ところが機能での差別化が飽和状態になった今、ユーザーの8割はデザインでケータイの機種を選ぶため、デザイン主導で開発が行われるようになってきた…という話。

その開発会議では、デザインチームの持ってきたデザインをもとに、技術チームがどこまでできるかを確認するわけですが、その中でこんな問題が持ち上がっていました。

まず、「画面はできるだけ大きくしたい」「本体はできるだけ薄くしたい」というデザインチーム。技術チームは「それは難しい」と答える。

また、開発の当初から、ボタンにタッチセンサーを使う前提で議論が進んでいたのですが、技術チームがタッチセンサー前提で様々な作業をしてきた後で、デザインチームが「やっぱり通常のボタンにしたい」と言い、それに対して開発チームは「この段階で議論する内容ではない」と、今までの努力を無駄にする方針変更に反対する。

ここに見られるのは、マーケティングと開発が分離した組織において普遍的な、とても根源的で構造的な問題です。

マーケティングはユーザーのニーズを盾に技術チームに要求を出します。技術チームが頑張っていることはわかるのですが、その詳細まではわからないので、「技術チームにはもっと頑張る余地があるはず」と信じて、より高い要求を突きつけます。

一方技術チームは、ユーザーのニーズが重要なことは理解しながらも、マーケティングからの際限の無い要求に答え続けることの難しさに苦しみます。特に、小型化・軽量化に代表される、乾いたぞうきんを絞るような競争では、実際問題として努力による改善の余地がゼロにならないため、自己申告以外に努力の限界を設定しづらいのが悩みです。もちろん、モチベーションの問題も重要です。

この問題に対するもっともシンプルな回答は、マーケティングと技術を同一人物(チーム)がこなすことです。初期のWeb2.0サービスなんかは、こういう体制から生まれていることが多いと思います。

しかし、大企業ではそういう体制はあまり現実的ではありません。となると、マーケティングと技術がどれだけ視点を共有できるか、が問題になってきます。

一つは、マーケティングが技術チームの苦労を理解すること。ただ、マーケティングが「もう少し本体を薄くしてほしいんだけど、技術的に難しかったら無理しなくていいよ」なんて言ってたら、できあがったケータイは誰も買ってくれないでしょう。

となると、やはり技術チームがマーケティングの意識を持つ、ということが要求されてくることになります。実際、番組中のNECの議論でも、最終的にはマーケティングの方針に技術が従うことになっていました。

まあどう考えても、行き着く先はこういう形しかないと思います。技術者のはしくれとしては、なんだかため息が出てしまいます。

ユーザーのニーズを考えるマーケティング。ユーザーのニーズと技術の両方を考えないといけない技術チーム。

こうなると、製品開発における優先事項が技術からマーケティングにシフトしつつある現在、マーケティングの重要性は言うに及ばずですが、いかに技術者のモチベーションを高く保つかが非常に重要になってきます。いくらマーケティングがユーザーニーズをつかんでも、技術者がモノを作らないことには商売にならないのですから。

ソフトウェア開発で言えば、古典的な営業とSEの問題、たとえば「お客様の要求とその変更」と「開発期間・コスト」の対立が同じ構造だといえます。

で、まとめ。技術の優先順位が相対的に下がりつつある今だからこそ、技術者の高いモチベーションが必要になるのではないか、ということ。技術者のモチベーションは、僕の勤め先でも(たぶんどこの会社でも)問題になっていますが、やはり相当にクリティカルな問題なんだな~と、番組を観て(苦悩するNEC技術チームの顔を見て)再認識させられました。

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