日経SYSTEMSのコラム「すごい現場」を読んで感じたこと

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日経SYSTEMSの最新号(8月号)に、「すごい現場」というコラムが載っていました。著者はITコンサルティング会社を経営されていて、書籍も多く執筆されている方です。

そのコラムの内容を要約すると、こんな感じです。

日本からのオフショア開発を請け負う中国人の会社社長。1ヶ月ぶりに会ったら、げっそりと痩せていた。日本のベンダーから発注された仕事が修羅場だったらしい。スタートが遅れたのに納期は変わらず、仕様変更はいつまでたっても収まらず、相談しても「顧客の要求だから何とかがんばれ」だけ。あまりの悲惨さに開発メンバーは夜逃げしたが、社長は探し出して連れ戻した。また開発メンバーのストレスが溜まっていたので、定期的に大宴会を開き、酒を飲ませた。社長本人は下戸で一滴も飲めないにも関わらず。

そしてこのコラムの結びの言葉。

「このような泥臭いマネジメントを粘り強く行うことでチームをまとめ、無事に納品にこぎつけることができた。システム開発の人間臭さは、中国でも日本でも変わりがない。オフショア開発で納品されたプログラムの裏にはこのようなドラマもあるのだ。

僕は、こういう人がいる限り、システム開発の現場から残業や休日出勤やメンタルヘルスの問題が無くなることは「決して」ないだろうな、とつくづく感じました。

このコラムに共感する人が多くいることは僕もわかってはいますが、こういう状況を「無事に納品にこぎつけることができた」とか「ドラマ」と表現する神経には、少なくとも僕は全く共感できません。

「システム開発の人間臭さは、中国でも日本でも変わりがない。」のではなく、今まで日本で末端のSEに押しつけられていた労苦を、そのまま中国人SEに押しつけただけだにしか思えません。

ソフトウェア開発に関する「名著」と呼ばれる本はたくさんあり、僕もまだ全然読めていない本が山ほどあるんですが、そういった名著を一つでも読むたびに、僕は「自分が疑問に思っていたことの多くには、ちゃんと賢い答えやアイデアがあって、それはいろんな形で世の中に公開されていて、単に自分の勉強がたりなかったんだな、もっと勉強をしないといけないんだな」とつくづく感じます。

僕は、もし度重なる仕様追加でプロジェクトが火を噴いているのであれば、夜逃げした人を捕まえたり酒を浴びるほど飲ませるよりは、プロジェクト管理とか要件定義とか交渉術とかの知識やスキルを身につけ、なんとか問題に対処できるような能力を身につけたいと、少なくともそういう考え方をする人間でありたいと思います。

もちろん、それでも目の前の仕事はこなさないといけないし、よく言われているように万能の「銀の弾丸」は存在しないわけですが、それでも「そんなふうに頭使うよりは、徹夜と気合いでしのぐ方がマシ」と考えてしまったら、SEというよりも知識労働者として終わりなんじゃないかと僕は思います。

徹夜や休日出勤を「ドラマだ」と思う人本人が徹夜や休日出勤をするのは、勝手にやっていただければ結構ですが、自分の部下に徹夜や休日出勤をさせた話を「ドラマだ」と思うような人に管理されているSEは、本当に気の毒です。

(注:このコラムでこれを「ドラマだ」と言っているのは著者であり、中国人社長本人がどう感じていたかはわかりません。)

「徹夜はドラマ」派な方の多くは、今までずっとそういうやり方で仕事をされ、「成功」してきたのでしょう
(ちなみに、このコラムの著者は、以前は今の僕の勤務先で働いておられたようです)。そして、そういう方は「上品なやり方では、システム開発は決して成功しない。結局最後は努力と根性だ。」とおっしゃるかもしれません。

でも僕は、そうまでしないと成功しないような仕事なんか、やる価値は全くないと思います。

もちろん、自分で夢や目標があって、それに向けていろんな物を犠牲にしてがんばる人は、それはすばらしいと思います。でも、繰り返しますが、自分の部下にいろんな物を犠牲にさせてがんばらせることを「ドラマだ」と思う人たちは、本当に有害だと思います。

仕事のせいで体調を崩したりメンタルヘルスで苦しんでいる人を見ると、心の底から僕はそう思います。

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