ハリウッド俳優の共演、企業の社外取締役、脳の中のシナプス、ウェブサイトのリンク、インターネットのルータなど、何かと何かの「つながり」としての「ネットワーク」について、その仕組みをわかりやすく開発した本。
NHK出版 (2002/12/26)
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発売当初(2002年)からよく本屋さんで目にはしていたんだけど、今まで読んでいませんでした。だってタイトルにまったくそそられなくて。なんとなく、軽いビジネスノウハウとか、そういうノリを感じさせるタイトルに、僕には感じられていました。
でも読み始めてみると、いきなりオイラーのグラフ理論の話が出てきたりして、意外としっかりした本なんじゃん?という印象。とは言え、数式はほとんど出てこずに、実例を取り上げたわかりやすい説明で、「ネットワークとはなんぞや?」を解説しています。有名な「世界中の誰とでも、6人の知り合いを経由すればつながっている」という話がありますが、ようするにそういう話です。こういう人間のつながりのネットワークを解析する試みは、最近SNA(Social Network Analysis)として話題になったりもしますね。
先に取り上げたような種類のネットワークは、多数のリンクを持つごく少数のノードと、少数のリンクしか持たない大多数のノードから構成されています。つまり、ふつう自然法則においては「釣鐘型」の分布がよく見られるのですが、このネットワークの世界で見られるのは「べき乗型」。Amazonのロングテールの説明で見られる、あの図です。
「成長」と「優先選択」(富める者がますます富む)という特徴を持ち、自己組織化していくネットワークでは、各ノードのリンク数は「べき乗型」になる傾向があり、こうしたネットワークは「フリースケール・ネットワーク」と呼ばれます。
そしてネットワークにおいては、個々のノード一つ一つを解析していても見られない特性が、ネットワーク全体としての振る舞いに目を移したとたん、新しい特性が浮かび上がってきます。いわゆる、「創発」という概念です。
僕はどうしても頭の中が還元主義、つまり「全体を要素に分解して、その要素の特性を理解することで、その全体の特性も理解できる」という考えに凝り固まっているようです。たとえば、経済というのは人間によって動かされているわけだから、経済学というのは一種の近似学問であり、たとえば個々人の心理を全市場参加者で積分すれば(それがコスト的に可能か、ペイするかはさておき)、完璧な経済学ができるんじゃないか?とか、そもそも心理ってのは脳の活動だよね?とか(これはモギ先生のテーマですね)とか。頭の中では「こういう還元主義的発想は、科学を捉える上ではすごく貧しくて古い考え方だ」というのはわかってるんですけど、いまだに「創発」という考え方が、僕の頭の中ではきちんとした科学として地に足を付けていない感じです。
ただ、この本ではその部分がかなりしっくりきました。ネットワークの基礎について知ることができたのもよかったですけど、「創発」についてちょっと納得ができたと言うだけでも、僕にとっては意味がある一冊でした。まあこの本をはそんなテーマで書かれているわけじゃないし、僕以外の人にとってはどうでもいいことだとは思うんですが。

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