2007年6月アーカイブ

フェルマーの最終定理のサイモン・シンによる、ビッグバンのお話。面白くないわけが無い!

ビッグバン宇宙論 (上)
サイモン・シン 青木 薫
新潮社 (2006/06/22)
売り上げランキング: 11494

ビッグバン宇宙論 (下)

この本はすごいです。

フェルマーの最終定理は純粋に数学的な理論なので、その理論的な詳細を一般の読者向けに説明するのは、おそらく不可能なことです。でもビッグバン宇宙論であれば、それは可能です。それを、サイモン・シンは証明してくれました!

この本では、「人類はどのようにして、『宇宙はなぜビッグバンから始まった』との結論に至ったか?」について、その科学的な理論と、科学の発展に伴うさまざまな人間ドラマを、古代ギリシャ時代から現代に至るまで、誰にでもわかるように語られています。

ビッグバンがあったことを証明するためには、特殊相対性理論や原子物理学が必要ですが、この本ではこれらの基本的な概念が、高校で物理を取らなかった人にもきちんとわかるように、とてもわかりやすく解説されています。このわかりやすさは感動的。

そして、科学をめぐる科学者たちの葛藤の、時にこっけいで時に感動的なエピソード。本当に、宇宙論の歴史を一気にまるごと味わえたかのような気分です。

でも、この本で一番面白かったのは、ちょっと長めの「エピローグ」。人類が長い歴史をかけて、あるひとつの到達点に達した「ビッグバン宇宙論」、この本で語られているのはまさにそれなのですが、エピローグは「それでもまだわれわれが知らないことが、いかに多くあるか」を語っています。

この本でも語られているとおり、いつの時代も人は(高名な科学者でさえも)「現代は科学にとってひとつの到達点であり、現代の理論をドラスティックに置き換える発見は、今後はおそらくないであろう」と考えてしまいがちです。でも、きっとそんなことはありえなくて。科学はきっと永遠に発展途上で、1000年後の人類は現代のわれわれを、ちょうど現代のわれわれが天動説を信じていた人たちを見るような思い出眺めることだろうと思います。いやー、科学ってすばらしい!

理科好きな人も、理科嫌いな人も、どっちもとことん楽しめる名作です。

同じくサイモン・シンの暗号解読はまだ読んでいないので、こっちも読まないと。

先日からスカパー!でCNNを見ているわけですが、これがなかなか面白いです。ずーっと流しっぱなしにしてるので、一生懸命見なきゃ!というモードではなく、だらだらと見ているのでかなり気楽。

そしてCNNといえば、Larry King Liveが有名です。これはLarry Kingという、サスペンダーがトレードマークのU.S.版田原総一郎みたいなおっさんがやっている、U.S.版徹子の部屋みたいな番組です。ゲストが豪華だと言うのは聞いていましたが、実際に見てみると本当に豪華。

今週の火曜日は、なんとTHE BEATLES。と言っても故人が2名ほどいますので、ポール・マッカートニー、リンゴ・スター、そしてオノ・ヨーコとジョージ・ハリスン嫁という構成です。

そして水曜日は、「the first post-jail interview of Paris Hilton」だそうです。U.S.人のパリス・ヒルトン問題についての関心の高さも、CNNを見ていて驚くことのひとつです。有識者をスタジオに集めて激論してたりしますから。

ところで、よく「英語のテレビを何ヶ月も何年も見ていれば、そのうち英語はしゃべれるようになる」という話を聞きますが、僕はそれはウソだと思います。やっぱり知らない単語は何度聞いても知らない単語だし。やっぱりボキャブラリーの勉強だけは、別途きちんとやらないといけないのだろうなと思います。

「防衛分野でも今後Javaが主流に」、富士通 - @IT

C/C++はともかく、Adaですか…。Adaなんて、「プログラム言語の歴史」とかでしか見たこと無いです。防衛分野では今でもそれなりに使われているんでしょうか。

あと、金融系でSEをやっている人なら誰でも知っているとおり、金融機関では今でも普通にCOBOLやPL/I(アイじゃなくてワン)が使われています。保守だけじゃなくて、新規開発でも。

ちょっと話はずれますが、この記事を見て僕が思い出したのは、就職活動で某超大手ITコンサルの面接を受けたとき。時は1998年。相手は40くらいのエラソーなおっちゃんでした。「大学でなんかプログラミングとかしてるの?」と聞かれ、「研究で使うのはCとFORTRANですかね」と答えたところ、「FORTRAN?いまだにFORTRANなんか使ってるところあんの?オレが学生の頃ですらもうFORTRANなんか使ってるやついなかったよ」と嘲笑されました。

「バカかお前は。NASAは今でもFORTRAN使ってるぞ?お前みたいなのがやってたカスい研究と一緒にすんじゃねえよ!」とは思いながらも言わなかったけど、腹のそこでは相当ムッときたので、その後の面接はひたすらケンカ腰になり、結局その超大手ITコンサルは不合格になりました。今となっては行かなくてよかったけど。あー、若かった。

で、結局何がいいたいかと言うと。

インターネット上ではRubyだPythonだPHPだとか言って、「もうJavaは古いよ」なんていう話になっている一方、世の中のインフラを支えるシステムではCOBOLとかFORTRANがまだ現役で、「そろそろこの世界でもJavaが使われはじめるか」みたいな話だったりする。

要するに今、コンピュータ業界で求められるスキルエリアの戦線が延びちゃっている状態なんじゃないかと思うのです。

そんな中でどんなスキルを身に付けていくべきかというのは、すごく難しい問題です。ここ数年、COBOLプログラマの単価が急上昇中なんだそうです。一方、これは想像ですが、PHPプログラマなんていうのはものすごく安く買い叩かれてるんじゃないかと。もちろん年齢層も扱うシステムの重要性も違う(と思われる)ので、単純比較はできませんが。

お金の面だけで言えば、最先端の技術についての知識を他人と競争しながら身に付けるより、最後尾の知識をじっくりと学ぶほうが、もしかしたら得なのかも知れません。ただ問題は、最後尾の知識はいつかコンピュータ業界の崖っぷちから零れ落ちていくだろいうということ。ただもしそうなったら、たとえばCOBOLがコンピュータ業界から完全に消え去ったら、そのときはその時点でレガシーになっているJavaのスキルを身に付ければいいのかもしれません。技術的なやりがいとか、見栄えとか、労働市場の流動性とか、いろいろ難しいところはありそうですけど。

とりあえず僕が思うのは、技術の最先端で勝負するにせよ、最後尾でやっていくにせよ、技術の世界の全体像と自分の今の立ち位置、そして今後の趨勢を、きちんと理解しておくことだと思います。それさえできていれば、世の中がどう流れていっても落ちこぼれちゃうことはないかな、と。

「いまだにFORTRANなんか使ってるところあんの?」と言ったあの超大手コンサルのおっちゃん、あれが僕のアンチパターンです。

村上春樹は回転木馬のデッド・ヒートという本の中で、小説の「面白味」についてこんな風に語っています。

面白味というものは蛇口をひねってコップに注ぎ、はいどうぞとさしだせるような種類のものではないのだ。あるときにはそれは雨乞いの踊りをさえ必要とする。

これは芸術家である村上さんの、面白味を提供する側の人としての言葉ですが、同じことは受け手の側にも言えると思います。つまり、ある種の感動は、コップに注いでもらってはいどうぞと提供してもらえるものではない、と。音楽、絵画、建築、文学、どれも本当の感動を得るためには、受け手の側に知識や経験や才能や努力が必要です。

「科学」が与えてくれる感動も、そのひとつだといえます。人間が何かをなすための学問である工学(Engineering)に対し、科学(Science)を神様が生み出した世界のありようを記述するものだとすれば、科学が美しく、感動を与えてくれるものだというのも当然のことです。ただ問題は、それを理解することができるのは、一部の限られた人たちだけであるこということ。

博士の愛した数式の「博士」はオイラー式「e^iπ=-1」を深く愛したわけですが、これは数学の知識を持たない人にとっては理解のできないことだと思います。この小説の中では、主人公の家政婦さんは博士への愛情を通して、オイラー式にも愛着をもつことになったわけで(でしたよね?記憶がおぼろげ…)、それはそれで素敵な話ですが。

この「生物と無生物のあいだ」という本は、小飼弾さんの書評を読んで買ってみたんですが、この本の素晴らしさは弾さんのこの言葉に尽きる気がします。

本来であれば科学者にしか味わえぬはずの感動を読者に味わわせる、少なくとも味わった気にさせられるだけでも、福岡伸一の筆がいかにすぐれたかの証拠だ。
生物と無生物のあいだ
福岡 伸一
講談社 (2007/05/18)
売り上げランキング: 5
おすすめ度の平均: 5.0
5 生命の生命たる所以
5 名著の予感
5 世界観が変わる

この本では、生物学の基礎的な説明と、生物学の歩みと、著者自身の研究の歩みが、あっちこっちを行ったりきたりしながら話が進んでいきます。文章がとてもわかりやすいうえに面白くて、全く飽きることがありません。

僕はもともと高校理科で生物を取らなかったこともあって、生物学についての知識はほとんどゼロでした。アミノ酸とタンパク質の違いも、細菌とウイルスの違いも、この本を読むまで知りませんでした。

そんな僕でも、DNAとはなにか?たんぱく質とはなにか?DNAはなぜ二重らせんなのか?生物学とはどんな学問か?そして、生命とは何か?が、なんとなくですがわかったような気にさせてもらうことができました。

弾さんの言うとおり、本当に感謝です。

そして、「生命とは何か?」という問題については、僕の本棚にはもうひとつ大事な本が眠っています。

カウフマン、生命と宇宙を語る―複雑系からみた進化の仕組み
スチュアート カウフマン Stuart A. Kauffman 河野 至恩
日本経済新聞社 (2002/09)
売り上げランキング: 73587
おすすめ度の平均: 5.0
5 新しい科学
5 プロトサイエンス(前科学)
5 さすがだ

これはすごい本です。数年前に一通り読んで、すごい本だということは理解できたのですが、内容は半分も理解できませんでした(涙)。この本では、生命の本質を、分子生物学と熱力学を中心に、量子力学や哲学もからめて解き明かしていくという試みがなされています。哲学とかが出てきちゃうと、ちょっとアヤシゲな感じに聞こえてしまうかもしれませんが、これは本物です。以前読んだとき、読み初めてしばらくたったところで、「もしかしてこの本に書かれているのはとんでもなく重要なことなんじゃないか?」という思いをひしひしと感じたことを覚えています。

「生物と無生物のあいだ」の感動が覚めないうちに、こっちにも再挑戦してみようかな。

僕のTOEICスコアは、実際の僕の読み書き会話能力と比べると、相当にいい点数です。なので、TOEICスコアを褒められるとちょっと居心地が悪い気分になります。TOEICのテスト形式が受験英語的なのが、こういうふうに実際の英語力に見合わないスコアが出ちゃう理由なんでしょう(最近テスト方式が変わって、だいぶ改善されたようですが)。

それともうひとつ、多くの人がTOEICがNon-Nativeのためのテストだということを忘れて(または知らずに)、TOEIC満点=英語が完璧、よって900点以上=英語がほぼ完璧、みたいなイメージを持っているのも、なんとなく僕が違和感を感じる理由かと思います。

しかし公式サイトを見ると、860点以上が「Aレベル」とされていますが、その定義は「Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる。」というものです。

TOEICスコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表

「Non-Nativeとして十分」というのがどの程度のものかはわかりませんが、仮に「TOEIC満点!」という人がいたら、僕も含めて誰もが「ネイティブ級にペラペラに違いない!」と思ってしまうと思います。でもそういうもんじゃないんですよね。

たとえば「Non-Nativeとして十分」な日本語というと、どのあたりになるんでしょう。僕がイメージするのは、韓国人のヘリョンや、"チョイ悪"ジローラモあたりですかね。「日本人のネイティブスピードの会話がほぼ理解できる」「語彙が不自然だったり、文法が若干怪しいものの、言いたい事はすべて表現することができる」という感じ。

「めざせTOEIC満点!」みたいな人もいますが、僕はそういマニアックなquiz的世界よりも、テレビや本や映画をもっと普通に理解できるようになりたいので、やっぱり力を注ぐべきはそっちかなと思います。

ただ、前回TOEICを受けた数年前と比べると、TOEIC向けの勉強は一切していないものの、「実際の英語力」の方はだいぶパワーアップしたという手ごたえが無きにしもあらず。今の点数がどんなものか、ちょっと試しに受験してみたい気がしないでもありません。

カズオ・イシグロの代表作。

Never Let Me Go
Never Let Me Go
posted with amazlet on 07.06.17
Kazuo Ishiguro
Faber and Faber (2006/03/02)
売り上げランキング: 6880
おすすめ度の平均: 5.0
5 普遍的なテーマと今日的なテーマ
5 回想としてのSF
5 え? でもやっぱりイシグロ。

僕がカズオ・イシグロの本を読むのは、この本が初めてです。この本については、あらすじなどの前提知識をまったく持たずに読み始めたのですが、どうやらそれはとても正しいことだったようです。理由を説明せずにお勧めしても説得力は無いでしょうが、とても優れた小説であることは僕が保証しますので、ぜひとも何の事前知識も持たずに読み始めてもらえればと思います。

ただ、英語で読む方向けにひとつだけ。最初のページから職業としての「carer」や行為としての「donation」という言葉が出てきます。辞書的な意味はもちろんわかるんですが、具体的にどんな職業や行為なのかがはっきり説明されておらず、ちょっと困惑しました。「これが理解できないと、本の内容が全然理解できないんじゃないか、と」。ただそれは僕の英語やイギリス文化の知識の問題ではなく、ストーリーの中で次第に明らかになっていくことでした。なので、そこは心配せずに進んでください。それ以外は、専門用語も少なく、比較的読みやすい英語だと思います。

もちろん邦訳(わたしを離さないで)も出ています。

著者のカズオ・イシグロ(石黒一雄)は日本で生まれ、5歳のときにイギリスに移住しました。日本語はほとんど話せないそうです。それでも、物語を満たす静謐な空気や、とても繊細な感情の描写などから、僕はなんとなく「日本人ならでは」なものを感じました。

他の彼の作品も、いくつか読んでみようと思います。

最近つくづく思うのは、Reading, Writing and Listeningは、なんとなくでも続けてればそれなりによくなってくるんですが、語彙力だけはきちんと勉強しないと身につかないということ。高校生の頃みたいに一度辞書を引けば覚えられた頃ならいざしらず、脳みそがますますアホになりつつある今ならばなおさらです。

究極のボキャブラリー SVL12000 Vol.3

アルク (2007/05/26)
売り上げランキング: 63097

というわけで、買ってみました。前半は知ってる単語も結構多いですが、後半はまさにチンプンカンプンワールド。頑張ります。

最近「もっと英語勉強しないとやばい」気分をひしひしと感じます。

元TBSアナウンサー雨宮塔子さんのパリ生活についてのエッセイ。

金曜日のパリ
金曜日のパリ
posted with amazlet on 07.06.11
雨宮 塔子
小学館 (2007/02)
売り上げランキング: 20984

TBSを退社されてから、むこうで結婚をされるまでの3年間に、Oggiに連載していたものをまとめたものだそう。パリでの生活の様子と、異国の地での暮らしに苦労し、色々と悩み続ける一人の女性としての姿とが、雨宮さんのイメージどおりのストレートな文章で描かれていて、とてもいい感じです。「そこまでぶっちゃけるか?」というくらいあけっぴろげに書かれている部分もあったりして。彼女の魅力とパリの魅力が両方たくさん詰まっていて、「20代~30代女性が共感!」というのも納得です。

続編、それからのパリも読んでみよう。

それにしても、日本以外の国に一度も住んだことの無い自分としては、外国ぐらしについての本やblogを読んだり、話を聴いたりすると、本当に楽しく、またうらやましいという気分になります。自分もちゃんと考えないと。

どうもオシムジャパンの人気がいまひとつらしいです。

asahi.com : 代表不人気? コロンビア戦チケットも2万枚売れ残り

かくいう僕自身も、今まで関東地区での代表戦は、行ける限りは必ず行っていたんですが、今回はあまり食指が動きませんでした。先日のモンテネグロ戦、そして今日のコロンビア戦、テレビで観ていましたが、「行っておけばよかった!」という試合ではありませんでした。

僕は、代表チームには「ドリームチーム」であってほしいと思います。今の時代、クラブチームのほうがより高度なサッカーをしていることは明らかなわけで、そんな中で代表チームに求められるものは、「普段は違うクラブチームで活躍しているスゴイ選手たちが、ひとつのチームに集まって日の丸を背負って戦う」というワクワク感ではないでしょうか。

そういう意味で、ジーコが初めて「黄金の中盤」4人をそろえたときの試合で感じたワクワク感を、僕はまだオシムの試合で感じたことはありません。ちょっと主題からずれますが、僕はジーコはワールドカップでの3試合だけで評価されすぎだと思います。もちろんその3試合が圧倒的に大事なのは間違いなく、また戦術のブレや試合中の交代プランのまずさなどは明らかだったわけですが、「能力の高い選手を先発にそろえ、選手の自主性やひらめきに任せる」という基本戦略については、僕は今でも正しいと思っています。クラブチームだったら問題があると思いますが、少なくとも代表チームとしては。

で、翻ってオシムジャパンですが、マスコミにおけるオシムの「キャラづけ」の効果もあってか、オシムは「オシムの指示通り、文句を言わずに黙々と走る選手」を評価しているような印象を受けますし、実際プレーしている選手たちも、自主性を発揮するよりは黙々と与えられた仕事をこなすことに集中しているように感じます。もちろんそういう見方は穿ち過ぎだとは思いますが、「スターは要らない」というのは繰り返し言っていることですし、どちらかというとそういう傾向であることは間違いないでしょう。

「退屈だけど勝つサッカー」対「華やかだけど危ういサッカー」の議論は、クラブチームの世界でも永遠のテーマです。どちらがいいかは一概には言えないものですが、少なくとも僕は、代表チームではクラブチーム以上に「ワクワク感」を与えてくれるものであってほしい、と感じます。

そんな中で僕がつくづく思うのは、「もしオシムジャパンに中田英寿がいたら」ということ。

もし日本代表内部での孤立や絶望が、中田英寿引退の一因であったとするならば、ジーコの最大の罪はそこかもしれませんね。

先ほどのエントリーでオイラーの名前が出てきて、思い出しました。

僕の誕生日は4月15日ですが、これはレオナルド・ダ・ヴィンチやレオンハルト・オイラーと同じです。ほほほ。

俺のあふれ出る知性のゆえんはこの辺か!(バカ)

なぜか有名な芸能人には、4月15日生まれの人は少ないんですけどねー。

ハリウッド俳優の共演、企業の社外取締役、脳の中のシナプス、ウェブサイトのリンク、インターネットのルータなど、何かと何かの「つながり」としての「ネットワーク」について、その仕組みをわかりやすく開発した本。

新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く
アルバート・ラズロ・バラバシ 青木 薫
NHK出版 (2002/12/26)
売り上げランキング: 31977

発売当初(2002年)からよく本屋さんで目にはしていたんだけど、今まで読んでいませんでした。だってタイトルにまったくそそられなくて。なんとなく、軽いビジネスノウハウとか、そういうノリを感じさせるタイトルに、僕には感じられていました。

でも読み始めてみると、いきなりオイラーのグラフ理論の話が出てきたりして、意外としっかりした本なんじゃん?という印象。とは言え、数式はほとんど出てこずに、実例を取り上げたわかりやすい説明で、「ネットワークとはなんぞや?」を解説しています。有名な「世界中の誰とでも、6人の知り合いを経由すればつながっている」という話がありますが、ようするにそういう話です。こういう人間のつながりのネットワークを解析する試みは、最近SNA(Social Network Analysis)として話題になったりもしますね。

先に取り上げたような種類のネットワークは、多数のリンクを持つごく少数のノードと、少数のリンクしか持たない大多数のノードから構成されています。つまり、ふつう自然法則においては「釣鐘型」の分布がよく見られるのですが、このネットワークの世界で見られるのは「べき乗型」。Amazonのロングテールの説明で見られる、あの図です。

「成長」と「優先選択」(富める者がますます富む)という特徴を持ち、自己組織化していくネットワークでは、各ノードのリンク数は「べき乗型」になる傾向があり、こうしたネットワークは「フリースケール・ネットワーク」と呼ばれます。

そしてネットワークにおいては、個々のノード一つ一つを解析していても見られない特性が、ネットワーク全体としての振る舞いに目を移したとたん、新しい特性が浮かび上がってきます。いわゆる、「創発」という概念です。

僕はどうしても頭の中が還元主義、つまり「全体を要素に分解して、その要素の特性を理解することで、その全体の特性も理解できる」という考えに凝り固まっているようです。たとえば、経済というのは人間によって動かされているわけだから、経済学というのは一種の近似学問であり、たとえば個々人の心理を全市場参加者で積分すれば(それがコスト的に可能か、ペイするかはさておき)、完璧な経済学ができるんじゃないか?とか、そもそも心理ってのは脳の活動だよね?とか(これはモギ先生のテーマですね)とか。頭の中では「こういう還元主義的発想は、科学を捉える上ではすごく貧しくて古い考え方だ」というのはわかってるんですけど、いまだに「創発」という考え方が、僕の頭の中ではきちんとした科学として地に足を付けていない感じです。

ただ、この本ではその部分がかなりしっくりきました。ネットワークの基礎について知ることができたのもよかったですけど、「創発」についてちょっと納得ができたと言うだけでも、僕にとっては意味がある一冊でした。まあこの本をはそんなテーマで書かれているわけじゃないし、僕以外の人にとってはどうでもいいことだとは思うんですが。

綿矢りさの芥川賞受賞後第一作。

夢を与える
夢を与える
posted with amazlet on 07.06.03
綿矢 りさ
河出書房新社 (2007/02/08)
売り上げランキング: 11462

赤ちゃんモデルから芸能界に入った主人公が、芸能活動をしながら中学生・高校生へと成長していくなかで、自分自身と周囲の間に上手く折り合いをつけることがどんどん難しくなり、次第にいろいろなことのバランスが崩れていく様を描いています。

これまでの「インストール」「蹴りたい背中」と比べると、かなりじめっとした雰囲気の話。19歳で芥川賞を取って以来の綿矢さん自身の体験が、この小説に相当な影響を及ぼしていることは想像に難くありません。半私小説と言えるかも。

綿矢さんについて今まで世間が(勝手に)抱いていた印象とこの話の雰囲気とのギャップや、「子役芸能人」という平凡すぎて誰も取り上げなかったとも言えるテーマなどから、人によってはこの本に少し厳しい評価をしていたりもするようですが、僕はひとつの小説としてすごく楽しめました。

ただ、彼女に対する世間の視線を逆説的に利用したかのような(邪推しすぎ?)こういう小説は、もう何度も書けるわけではないでしょうし。「10代のかわいい女の子が書くかわいい小説」から「20代になって人より早く疲れちゃった雰囲気の小説」を経て、次回作にどんな小説が出てくるのか、かなり楽しみです。

欧州サッカーのシーズンが終わって、使い道の無くなってしまった我が家の「スカパー!」。

基本料金だけ払って、来シーズンの開始を待ってるつもりだったんですけど、せっかくだから英語の勉強にでも活用すっか、ということで「英語セットマスター4」というやつを申し込んでみました。

「CNN」「BBC」「Bloomberg」と「GLC」という英会話教育番組の4つが見れて、月額1,400円。

たぶん「CNN」がメインになると思うんですけど、特に見たいテレビ番組が無いときには、これをだらだらと流しっぱなしにしようと思います。

そういえば、録画してあった「プロフェッショナルの流儀」を見たら、モギ先生と住吉美紀さんが英語でGoogleのCEO、エリック・シュミットにインタビューをしてました。住吉さんは子供の頃にアメリカ・カナダですごしたことがあるそうで、きれいなアメリカン・イングリッシュを話してしました。一方モギ先生の方は、日本語と同じくとても早口で発音も不恰好だけど、ボキャブラリーは豊かで、「一生懸命勉強して身に付けた英語」という感じが伝わってきました。住吉さんみたいな「ネイティブっぽい」英語は確かにかっこいいけど、僕が目指すべきは茂木センセイの方だな。

頑張ろう。

村上春樹「羊をめぐる冒険」の英訳本。

A Wild Sheep Chase
A Wild Sheep Chase
posted with amazlet on 07.06.01
Haruki Murakami
Vintage (2000/04/20)
売り上げランキング: 18259

村上春樹の英訳を読むのは、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」「ノルウェイの森」「国境の南 太陽の西」「ダンス・ダンス・ダンス」に続き5冊目です。よく言われているように、彼の作品はもともと英語を日本語に訳したかのような文体(実際、初期には英語で書いてから自分で日本語に約していたらしいです)なので、日本語で読むときと英語で読むときで、印象の差とのようなものはあまりありません。

それにしても、やっぱり英語を読むのは時間がかかります。日本語で何度も読んで、ストーリーをほぼ完璧に覚えているこの本でも、普通にリラックスした状態で読んでいると、2分/ページくらいかかります。この本が約300ページなので、だいたい10時間くらい。たぶん日本語で読む場合の、倍以上です。

今年は「月に1冊は英語の本を読もう」という目標でいたんですが、もっと普通に英語の本が読めるようになろうと思ったら、このペースじゃ足りないのかも。っていうか、そもそも「月1冊」のペースすら守れていないのが実情なんですけどね…。

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