「茂木健一郎絶賛!」の帯に惹かれて読んでしまいました。
交通渋滞の現象を科学的に説明した本なのかと思いきや、それのみにあらず。
交通渋滞を解き明かすため、単純なセルオートマンモデルを提案し、そのモデルを用いたシミュレーションの結果が、実際の交通渋滞の現象と一致することを説明。そしてそのセルオートマンモデルは、満員電車での人間の動きや、コンピュータネットワークを流れるパケット、森林火災の延焼などにも適用できることなどが説明されています。
非常にシンプルなモデルながら、確かにそのシミュレーションは、実際に我々が経験している渋滞の「感触」に、非常に近い結果を出していることには、かなり驚かされます。そしてそれが、ものすごく広い分野のいろいろな現象に適用できることも。
ただ要するに、こうしたモデルを利用したシュミレーションの活用が研究の中心であるということは、現時点では「渋滞」の現象を厳密に定式化するまでには至っておらず、それどころかどんな学問を使ってこれにとりくむべきかすら、未だ暗中模索な状態のようです。
ただ筆者は、これこそ理学と工学が共に手を取り合って取り組むべき、非常にチャレンジングな領域だと書いています。確かに、幅広い領域の知識が必要だし、なによりこういう問題ってスケールをどのレベルに置くかで、見えてくる現象や扱うべき事象が全く変わってきてしまうので、そういう意味でもすごく難しそうな気がします。そう考えてみると、そのへんは茂木先生のクオリア問題とよく似ていますね。
文系なひとでも全然問題なく読めると思います。サイエンスな知的好奇心をお持ちの人にはオススメ。
ただし、「渋滞抜け道情報」みたいな本では全くないので、注意すべし。そういう人は、こっちを読みましょう。
ニッポン放送/扶桑社 (2006/08)
売り上げランキング: 36355

コメントする