桐野夏生の作品を読むのは、柔らかな頬、OUTに続き、3作目。正直、前の2作にはあまり強い印象が無く、なんとなく惰性で買ってしまった本だったんですが、なんというか圧倒的にすごい本でした。
主人公、というか語り手はハーフの中年女性。彼女の妹と学生時代の友人が、共に娼婦として殺される。容疑者は中国人。主人公の語りとともに、殺された妹や友人、そして容疑者の手記や日記から構成されています。
圧倒的美貌の妹と常に比較される中で、自分の中で悪意を育み続けた主人公、生まれつきの娼婦だった妹、お嬢様学校や会社という階級社会で勝ち目の無い戦いを続ける友人の女性、そしてほかのさまざまな登場人物。最初は、(僕を含めて)誰もが持っているようなかすかな狂気を孕みつつ生活していた人たちが、いつの間にか取り返しがつかないほどの狂気の世界に落ちていく展開は、本当に圧巻です。
登場人物は一人残らず「グロテスク」で、そのほとんどは女性。男の僕ですらこんな嫌な気分になるのだから、女性が読んだらもっと感じるところがあるのではないかな。

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