すみません、今まで読んでいませんでした。会社の先輩に借りて、冬休みの宿題としてがんばって読みました。ああ、デスマーチについては今まで色々考えたり話したり書いたりしてきましたが、何をさておいてもまずこれを読むべきでした。ほんとすみません。
Prentice Hall Ptr
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この本では、以下のようなプロジェクトをデスマーチと定義しています。
・工数や実装すべき機能が想定の倍以上
・人員や期間、または予算が本来必要である量の半分以下
そして、著者は「デスマーチは特別なものではなく、どこにでもあるものだ」と言います。その上で、デスマーチを生き延びる上で有効なテクニックや考え方についての解説がなされています。
著者が「この本でひとつだけ覚えるとしたらこれ」といっているのが、『トリアージ』です。トリアージとは、戦争や災害における医療現場で、患者の緊急度をレベル分けして、それぞれに対して必要に応じた医療を施していく、ということです。言葉を換えると、「場合によっては見捨てるべきものは見捨てる」ということになります。
ソフトウェア開発の場合では要求の取捨選択がこれにあたり、デスマーチ化したプロジェクトでは当初想定していたすべての要求を実装することをあきらめ、どうしても必要な要求だけを実装するという方針に切り替えることが効果的である、と書かれています。その理由は、デスマーチ化するということはそのプロジェクトはビジネス的にクリティカルなものであり、スケジュールを伸ばすことは困難であること、スケジュールを伸ばさずに人数を増やしても作業スピードの伸びは期待できないこと(妊婦を10人あつめても1ヶ月で子供が生まれるわけではない、というやつです)、顧客が求める機能の80%は20%のコードで実現できるはず(パレートの法則ですね)、というものです。
全体としてコラムというかエッセイ的なノリです。印象としてはワインバーグやデマルコの本に近い感じで、気軽に読める本です。Amazonの書評を見ると「解決策が書かれていない」「具体的な技法については他の本を参照したほうがよい」と書かれていますが、それはこの本の趣旨を理解すれば当然のこと。著者が述べている通り(そして他の多くの書籍でも述べられている通り)、デスマーチを成功させる『魔法の杖』や『銀の弾丸』は存在しないのです。プロジェクトマネジメントの基礎知識を持っていることは前提であり、結局のところ使える武器はそれしかないわけで、デスマーチという状況下でそれを使いこなすための心構えやノウハウが書かれているのが、この本だと考えるべきなのではないかと思います。
ぐだぐだ書いてしまいましたが、面白くて読みやすい本だし、とりあえず全員必読だということで。
もちろん訳本も出ています。だいぶわかりやすい英語だったので、英語が苦手でない人は原書を読んでもいいかもしれません。ただ、原書のほうが値段が倍以上するんだよなあ…。
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