フォーサイト11月号の梅田望夫氏のコラム「シリコンバレーからの手紙」を読む。梅田さんは『(フォーサイトの)六月号巻頭「ウェブ社会『本当の大変化』はこれから始まる」で詳述した「大変化」に対応する原則として』7つの項目を提示されたのですが、7つの項目のうち『最も訴えたかったポイント』として、『新しい現象に対して「古い感覚を総動員した理論武装」で戦うな。』を挙げていました。
これまでリアル世界で活躍してきた既存の世代は、これまで蓄積してきた知識や成功体験、そしておそらく(これは僕の個人的意見ですが)「ネット」に対する「リアル」の優越感から、『ネットの世界の新しい現象を、どうしても何かのアナロジーで考えようとするのが習い性になっている。』。
そういった世代の人々に対して、梅田さんはこう提言します。
今ネット世界で起きている「新しい現象」に興味を持ち、アナロジーによってではなく丸ごと理解してほしい。そこが「理解しあうことのない『二つの別世界』問題が深刻化するかどうかの鍵を握る。ワイドショーの解説者が犯罪を犯した少年のblogについて、老齢の経営者がネット企業の趨勢について、さまざまな言葉を駆使して語りますが、言葉の端々に、目に見えず理解も出来ない「ネット」というものに対する彼ら(彼女ら)の『怖れ』と『軽視』が強く感じられることがあります。特にそれらの人が既存の成功者であればあるほど。
先日たまたま読んだ産経新聞夕刊のコラムに、こんなことが書いてありました。団塊の世代は、自分たちより上の世代に反抗することで、自己表現をしてきた。それに対し、現代の若者はどちらかというと自分たちだけで楽しくやっていて、上の世代は「無関係な存在」であり、できれば「ほうっておいてほしい」と思っている、と。感覚的にですが、納得してしまいました。
今リアル世界で成功を収めている多くの人は、いわゆる団塊の世代に所属する人たちです。もしかしたら、彼らにとって自分たちを「無関係な存在」の場においやり、同じフィールドで戦いを挑んでくるのならともかく、自分たちには全く理解できないITを駆使して勝手に盛り上がっている若い世代は、とても恐ろしいものなのかもしれません。
今までコンピュータに全く触れてこなかった世代の人々が、今からネットやITの世界で起きていることを感覚的に理解するのは、おそらく無理でしょう。たとえコンピュータの技術的な知識をどれだけ勉強しても、現在のムーブメントを皮膚感覚として捉える難しいのではないかと思います。だからこそ、彼ら/彼女らは自分たちの言語でその現象を捉えようとするのです。でもそんな取り組みは、わかった「つもり」で安心するという自己防御以上の何の意味もありません。梅田さんの言うとおり、丸ごと受け入れるしかないのです。戦うのでも、守るのでもなく、ただ受け入れる、と。
同じように、今30歳である僕には、家族との食事中も携帯でメールを打ち続ける女子中学生の気持ちは全く理解できません。10年後、彼女たちの世代がビジネスの世界に出てきたときには、きっと僕には全く(技術的にではなく皮膚感覚的に)理解できないビジネスが生み出され、成功を収めているのでしょう。そんな時に僕は、それら新しい世界を素直に「受け入れる」ことが出来るようになっていられるでしょうか。
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