通信と放送の融合

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ニッポン放送の騒動に関連して語られる機会の多い「通信と放送の融合」ですが、具体的なイメージが共有されないまま、言葉だけが独り歩きしているような印象があります。そんな中、iNTERNET magazine5月号で、「放送・通信融合」が特集されていました。中でも特に勉強になったのが、『「放送・通信融合」を法律から読み解く』という記事。

「通信」と「放送」はそれぞれ法律上明確に定義・区別がされていて、特に著作権法上大きな差異があるのだそうです。常識でしょうか?僕は知りませんでした(汗)。

まずその区別から。そもそも放送は「1対多」の情報のやり取りを意味するものであり、重視されるのは内容の公共性。一方通信は「1対1」のもので、重視されるのは内容の秘匿性。また管轄する法律も、放送法と電気通信事業法という、全く別のものです。

こういった違いに加えて、放送は通信と比べて、著作権法においてとても大きなメリットを享受しています。たとえばインターネットなどの「通信」で音楽というコンテンツを提供しようとした場合、作詞作曲者の著作権と共に、アーティストの著作隣接権、そしてレコード製作者の著作隣接権と、合計3つの権利を考えなければなりません。

しかしこれが「放送」になると、放送業者は後者2つの権利を考慮しなくてよいのです。つまり、作詞作曲者の著作権のみ考慮すれば、アーティストやレコード会社の許諾無くその楽曲を放送してよいのだそうです。

これを利用して、1998年にスカパーが自社のデジタルラジオサービスで、最新の楽曲を「74分」に編集して放送しました。これは当然、MDにコピーすることを想定したサービスだと言えます。そしてこれは「放送」なので、アーティストやレコード会社の許可無く行うことができるサービスなのです。

このサービスは結局レコード会社が訴えを起こしたのですが、第一審はレコード会社の敗訴でした。結局控訴審で和解となったようですが、「通信」が持つ力がどれほど大きなものか、思い知らされます。

そして、ご存知の通り「通信」は免許事業です。与えられた大きな力を「とがめられない程度にうまく」利用している既存メディアと、既存メディアをうまくコントロール下に置いている行政にとっては、新しく「放送」に参入しようという勢力なんて、邪魔なだけでしょうね。電波の割り当てについても、同じようなことが言えると思います。

で、話を最初にもどしますが、「放送」と「通信」は電波かインターネットかという技術的な問題以前に、法律上明確な区別があり、コンテンツ配信のメディアとする上では、その力に大きな差があるということです。

現在の法解釈では、ビデオオンデマンドのように、クライアント(PCであれSTBであれ)からのリクエストでサーバが動画を配信するような形式は、「通信」とみなされるのだとか。よって、クライアントの電源が入っていようがいまいが、サーバ側からマルチキャストで動画を送りつけるような形式が、現在主流となりつつあるのだそうです。なんか、不備だらけの法律の隙を突くことだけを目的とした、つまんないイノベーションですよね。発泡酒とかと同じで。

もはや現在の技術においては、「通信」と「放送」を「1対多」とか「1対1」とか、ましてや媒体が電波かインターネットかで判断するなんていうのは、もう明らかにナンセンス。通信と放送の垣根を無くし、電波もインターネットも公平に競争をしてもらえれば視聴者としては一番いいんですけど、やはり問題となるのは、「通信」の御旗の元に大きな力を「行政から」与えられている既存メディアでしょう。

やはり僕らはメディアから多くの情報を得ている以上、メディアの問題というのはなかなか伝わってこないものですね。

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