Foresight3月号に載っていたキブン(変換されない…七が三つのキに文です)康隆氏の「トヨタが迫られる『増配』の歴史的意味」を読んだのですが、かつてトヨタ銀行と呼ばれ、配当よりも社内に膨大なキャッシュを溜め込み投資を行うことによって株価上昇で株主に報いてきたトヨタが、今三月期での増配を示唆しているそうです。そして、創業から2003年まで全く配当をしていなかった米マイクロソフトが、昨年末に320億ドルの特別配当を出したことに触れて、このように書いています。
マイクロソフトの三兆円強と言う巨額の特別配当は、昨年のクリスマス商戦の最中に実現し、消費の下支えになったといわれる。企業部門から家計部門への巨額な所得移転は、当然のことながら投資から消費への移転を伴うだろう。こうした新しいタイプの有効需要の創出策=ケインズ政策の意図が、マイクロソフトの配当政策の裏に隠れているテーマである。 (中略)マイクロソフトは配当政策の転換により、有効需要創出という国家が負うべき役割を一企業が果たす皮肉な状況を作り出した。
先月くらいに日経ビジネスでも日本のキャッシュリッチ企業が特集されていましたが、僕はやはり企業がキャッシュを溜め込むことを良しとする傾向にはあまりよい印象を抱きません(専門家じゃないので理論的な是非はわかんないですが)。今の日本に足りないのは、明らかに投資ではなくて消費ですよね。キャッシュを必死で溜め込む企業は、全体が地盤沈下していく日本経済の中で、自分たちだけでも延命しようともがいている姿に思えてなりません。またもう一つ、所得が消費に回らないと健全な産業構造のシフトが起こらないんじゃないかということです。旧産業がキャッシュを溜め込む、旧産業の株が上がる、旧産業の株主が潤う、というように旧産業の中だけでサイクルができあがってしまいます。もちろん企業は自分の会社と自分の株主のことを考えて経営をしてるんだから当然なんでしょうが、企業間の競争状態を生み出す原動力である消費者の購買力が不足している状態では、経済全体が健全に成長することは無いのではないでしょうか。
もちろんこれは各企業が考える問題ではなく、国家が取り組む問題です。マイクロソフトも米国経済のために配当をしたわけではないでしょうし。とりあえずはもっと株主が大きな声を出すことが大事なのかなぁ。でも、現時点で成長している企業が「もっと成長するためにキャッシュが必要なのです!」と言えば、そうだよなぁと納得してしまいそう。難しい問題です。
TrackBack People [ニュース放談]
コメントする